受験勉強を始める前に、大学入試の仕組みの知識を押さえておくことは必須です。今回は国公立大学の入試の仕組みについて説明します。
基本の3つの選抜方式
「一般選抜」と「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」国公立大学の入試は、「一般選抜」と「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」の3つの方式に分けられます。
「一般選抜」は、原則1月に行われる大学入学共通テスト(以下、共通テスト)と、2~3月に大学が個別に実施する個別学力検査(通称:2次試験)の合計得点で合否が判定されるのが一般的です。大学によっては、調査書や小論文などを含めて総合的に判定するケースもありますが、基本的にはいかにテストで高い得点を取るかが合格へのカギとなります。
「学校推薦型選抜」は通常、高校の校長先生の推薦状が必要で、「一般選抜」の前に行われます。ほとんどの大学で「学習成績の状況4.0以上」などと、高校時代の評定平均値を出願条件として設けているため「一般選抜」がテストの得点重視なのに対して、高校の成績重視といえるでしょう。しかし、2021年度入試から口頭試問や資格・検定試験などで学力をみることが必須になりました。なかでも共通テストを「学校型推薦選抜」の合否判定に用いる国公立大学が増えています。
「総合型選抜」は、書類審査や面接、小論文などで、受験生の大学で学ぶ意欲や学問への適性などを問う選抜方式です。しかし、共通テストを課す大学が多くなってくるなど、学力も重視される傾向が強まっています。出願時に提出する資料や、行われる試験の内容が大学によってかなり異なるため、受験生はそのための事前準備をすることが求められます。
それぞれの入試時期を知ろう「一般選抜」と「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」のそれぞれの入試時期を時系列に並べたのが下の図です。
3つの入試方式は時期をずらして実施されるので、日程的にはすべてを受験することができます。しかし、それぞれの入試方式で求められる対策が異なるため、ひとりの受験生が3方式全部に出願するのは一般的ではありません。
下の円グラフは、2021年度入試における国公立大学の募集人員が、3つの入試方式にどれぐらいの割合で割り振られていたのかを示したものです。「一般選抜」に8割近い人員が充てられていることからも、多くの受験生が「一般選抜」で大学に入学していることがわかります。
「一般選抜」について深く知っておこう
「一般選抜」の入試日程一般選抜の個別学力検査(2次試験)は「前期日程」と「後期日程」の2つの日程で実施されます。公立大学のなかには「中期日程」を設ける大学もあるため、1年に3回、一般選抜で国公立大学を受験するチャンスがあります。それぞれの日程で別の大学・学部を併願することも可能です。
「前期日程」=第一志望校ただし、一般選抜の募集人員の8割近くが「前期日程」に割り振られているので、一般選抜は「前期日程」を中心とした入試と考えてよいでしょう。「後期日程」は、年々、廃止・縮小の傾向が強まっています。また、「前期日程」で合格して入学手続きを行った場合は、その大学へ入学することが確定し、「中期日程」「後期日程」で合格することができなくなります。つまり、受験生のほぼ全員が一般選抜の「前期日程」で第一志望の国公立大学を受験することになるのです。
共通テストの結果が悪いと個別学力検査(2次試験)が受けられない?!大学によっては共通テストを利用して、「志願者が募集人員の○倍(だいたい7~9倍程度)を上回った場合、第1段階選抜を実施する」としています。つまり、共通テストの結果が悪いと、個別学力検査(2次試験)を受けることすらできずに不合格になるケースもあるのです。
一般選抜の入試科目
共通テストは基本的に5教科7科目国公立大学の入試を受けるには、必ず共通テストを受けなければなりません。共通テストは国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の6教科から出題されます。その中から大学・学部が指定する教科・科目を受験するのです。国公立大学の多くが5教科7科目を課しています。
基本は
文系……「外国語」、「国語」、「地歴・公民から2科目」、「数学2科目」「理科1科目」
理系……「外国語」、「国語」、「地歴・公民から1科目」、「数学2科目」「理科2科目」
です。
公立大学を中心に3教科3科目、4教科4科目など、少ない科目で受験できる大学もあります。が、国公立大学を第1志望とするのであれば、5教科7科目を勉強して受験校選びの選択肢を広げておくべきでしょう。
個別学力検査(2次試験)はだいたい3~4教科個別学力検査(2次試験)の入試教科も大学・学部によって異なります。同じ学部でも「前期日程」と「後期日程」で変わることがほとんどです。多くの大学で、「前期日程」の入試教科は、文系で外国語(英語)、国語、数学、地理歴史、公民から3~4教科、理系で外国語(英語)、数学、理科から3~4教科となります。いずれも主として記述問題が出題されるので、対策が必要です。「後期日程」では、教科数を1~2教科に減らして、面接や小論文、大学独自の教科横断的な総合問題など特色ある試験が課される傾向もみられます。また、「後期日程」では個別学力検査(2次試験)は実施せず、共通テストの得点のみで合否判定を行う大学・学部もあります。
共通テストと個別学力検査(2次試験)の配点にも注意共通テストと個別入学試験(2次試験)の配点もまた各大学・学部が定めますが、大学・学部によって比率がかなり違うので注意が必要です。たとえば、2021年度入試で、東京大学は共通テスト110点、個別学力検査(2次試験)440点という非常に個別学力検査の比重が高い配点となっています。ほかに、共通テストと個別学力検査(2次試験)の比率が同じくらいのケースや、共通テストと個別学力検査(2次試験)ともに、数学や外国語など特定の教科のみ配点が高くなるケースなどがあります。
今回は、国公立大学の入試の大まかな流れを説明しました。「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」、大学入学共通テストなどについては、別の回で解説しますので、詳しくはそちらを参考にしてください。
学研プライム研究所スタッフ
学研プライムゼミをはじめとした映像教材を制作しています。難関大受験のための学習法をわかりやすく解説します。