皆さんは模試の問題を解いているときに、「これ教科書でやった気がするんだけど、思い出せないなあ」「覚えたつもりだったんだけど、いざとなると出てこないなあ」と思った経験はありませんか?
今回はそうならないためのノート活用術をお話しします。これは私が受験生時代にどの科目でも実践していたノート術です。一所懸命に教科書を読んで理解・暗記したつもりでも、いざとなると出てこない人にはぜひ読んでもらいたいです。
自分の口で語りなおせる「再現力」が必要
受験とは関係ない話なんですが、小学校のころに朝礼で校長先生の話を聞く機会があったと思います。そこで例えば、朝礼の後、朝礼に出なかった人に「今日の校長先生の話のどんな内容だった?」と聞かれたとします。どうですか? 皆さんは校長先生の話を自分の言葉で語りなおすことができますか? どんな内容だったかは覚えていても、上手に説明するのきっと難しいと思います。
皆さんも教科書を読むとき、重要事項に蛍光ペンを引くなど、覚えるための工夫をしている思います。でも、そうやって教科書をキリのいいところまで読んだ後に、教科書を閉じて自身に問いかけてみてください。「この教科書で今何を学んだのか? どんな内容が書いてあったのか? それを他人に説明できるのか?」と。なかなかパッと説明できないのではないでしょうか。
でも、受験勉強で必要とされているのはずばり、この力なのです。「自分が教科書で読んだこと・先生から聞いたことを自分の言葉で説明できる再現力」、これを鍛えないといけません。これが身につかないまま模試を受けても、記述問題で解答を作り上げることは当然できませんよね。自分の言葉で説明できるようになったとき、初めて理解したと言えるようになるのです。
再現する力をつける「一部だけノート」
通常、皆さんが何かを覚えたくてルーズリーフにまとめるとき、暗記事項をとりあえず全部書くと思います。そしてそれを通学の電車内で見たり寝る前に見返したりして、繰り返し目に入れることによって覚えていくのではないでしょうか。その方法はある意味正解です。繰り返し目で見たものは、自然と覚えていくと思います。でも、これだと受動的なため、覚えるまでの繰り返しの回数がどうして多く必要になり、少し効率が良くないやり方な気がします。
そこで、「一部だけノート」を使った、もう少し能動的に暗記をする方法をお教えしたいと思います。まず、教科書を読みます(この段階で口に出しながら読んでもいいかもしれません)。そうしたら、その中で覚えたい事項の「タイトル・見出し・ポイント」のみを、ルーズリーフに書き留めます。こうして作った一部だけノートのタイトル・見出しを見て、先ほど教科書で読んだことを、口に出して、あるいは脳内で説明してみましょう。
どの学習範囲でも、1回目はまだ全然覚えていない状態なので、説明に詰まってしまうと思います。思い出せないところはもう一度教科書を読み、もう一度自分でその箇所の説明をしてみてください。これを何度も繰り返すうちに、すらすらと言えるようになるはずです。
一部だけノートに書き留める内容は、例えば世界史のヨーロッパの商業革命なら、「商業革命の背景・全体の流れ・どこで起きたのか・何に影響を与えたのか・同時代に他の地域では何が起きていたか」などです。
この方法の優れている点は、どこでもいつでも自分の理解力を確かめる作業、自分の再現力を鍛える作業ができることです。ルーズリーフも見出ししか書かなければ1枚で済むので、満員電車でも見ることが可能です。どんな場所でも記述練習ができるのです。
東京大学|A.I
東京大学法学部に在学しています。入学年度は2018年度です。みなさんが少しでも受験を楽しく乗り越えられるようにアドバイスをしたいです。