人によって教科の得意・不得意はさまざま。社会系の科目は大好きで大得意という人もいれば、好きだけれどテストは苦手とか、どちらかと言えば嫌いで苦手意識を持っているという人も当然います。私も今でこそこんなに偉そうにこのコラムを書いているわけですが、実を言うと受験生時代の成績は、社会科に足をだいぶ引っ張られていました。今回はその苦手をどのように克服したかについて、お伝えしていきます。
土壇場にきてからワークを1冊終えた「世界史」
受験に使っていた社会科目の一つである「世界史」は、単純に面白いとは思っていた科目でした。特定の地域・時代にクローズアップすれば物語を読むような感覚で勉強できましたし、範囲が限られているならそれほど暗記にも困らない。ただ、定期テストでそれほど悪くない点が取れても、範囲の広くなる模試では今ひとつ……という状況が、なんと3年の秋ごろまで続いていたのです。
当時の私は、自分の一番の苦手教科は数学だという自覚を持っていました。そのため、あまり振るわない数学の対策ばかりに目が行って、定期テストなら何となくできている世界史に、それほど危機感を感じていなかったのでしょう。「このタイミングで時間を割くべきなのはセンスを磨く必要のある数学だ、暗記教科は後から詰めれば何とかなる」と高をくくっていたのかもしれません。
確かに数学に時間を割くべき、という考えはあながち間違っていませんでした。秋に受けた模試では数学は私にしては大健闘、そして、大問題教科は “社会”に取って代わられたことが露呈したのですから。
どうしようどうしようと思いつつ、やるべきことが積もっているからと、世界史にほとんど手をつけないまま迎えた冬休み。2週間の休みをほとんどまるまる使って、世界史のワークを1冊終えました。
幸い授業で聞いたことの記憶はその過程で呼び起こされ、また科目自体をずっと面白いとは思っていたことに助けられます。ここからは過去問を解きながらこまめに用語を見返したり、どうしても覚えられない部分を自分なりにまとめ直したりという細々した学習で、入試本番では9割ほど得点することができました。運も良かったのかもしれません。
国内外の各種事情の裏を考えることが「地理」対策に
世界史のエピソードで私のギリギリ加減はもう十分に伝わったかと思いますが、先ほど「大問題教科は “社会”」と書いた通り、追い込まれていたのはもう一科目の「地理」も一緒でした。そもそも私の学校では歴史科目のみを使う私立文系を受験する人が多いことから、文系の私には地理の授業が用意されていませんでした。かと言って、あれだけ世界史で苦労した私ですから、日本史+世界史受験なんて考えるわけにはいきません。
理系クラスで地理を教えていらした先生に相談したところ、3年の夏休みに、特に重要な部分をピックアップして簡単な授業をしてくださいました。おすすめの参考書も教えていただいて、秋以降は暇さえあればその本をひたすら読む日々。そしてそこから得た地形や気候の知識をもとに、ニュースや紀行番組でも取り上げられることのある国内・国外の農林水産業などの事情について、その裏にある理由を考えてみるということをしました。例えば、どうしてイタリアのアマルフィはレモンで有名なのか?といった具合に。
地理の問題では表にまとめられた品目の輸出量・輸入量などをもとに国を推測させる問題が頻出ですから、この勉強法は功を奏し、模試で5〜6割と低迷していた成績は入試本番で8割に跳ね上がりました。
背水の陣は肝を冷やすもの。私と同じ轍を踏むことは決しておすすめしませんが、みなさんが社会科の勉強に困ったとき、参考にしていただけたら嬉しいです。
東京大学|S.H
東京大学教養学部在学中。高校時代は公立校の外国語科に在籍し、塾に通うことなく合格をしました。みなさんができるだけ楽しみながら勉強を進められるようなコラムを執筆いたします。