語学の勉強では「読む・聞く・書く・話す」というふうに、その運用技能がカテゴリー分けされることが多いですよね。そして、分けられているだけあって、それぞれのカテゴリーで勉強法が、当たり前ですが異なります。今回は地道な積み重ねが功を奏す、英語の「リーディング」がテーマ。どんなふうに勉強するとリーディングに強くなれるのか、見てみましょう。
多読、多読、とにかく多読
旧センター試験が現行の共通テストにリニューアルされたとき、一番話題になったのが英語の問題。読まなければならない文章量が増加し、問題をすべて解き終わるのに必要とされる読解スピードが、センター試験の比ではなかったのです。「英語がわからないわけではないけれど、テストは解き終わらない」という高校生は、きっとたくさんいることでしょう。こうした状況のなか、リーディングに強くなりたい人がいま一番やるべきことは、「読解スピードの向上」です。
速く読めるようになるためにするトレーニングはシンプル。ずばり、とにかくたくさん読む「多読」が効果的です。いくら速く読むための練習だと言っても、単に字面を追うだけの「目を通す」ではなく、しっかり内容を理解しながら「読む」ことが大切です。自分が興味を持って読めそうな本を探して、楽しみながらじっくり読んでいるうちに、自然と読むスピードが上がってきますよ。
面白そうな本を選ぶとき、わからない単語が多すぎるものを選んでしまわないかが心配という人もいるかもしれませんね。そんな人は、“Graded Readers”と呼ばれる、英語学習者用の本のシリーズの中から選ぶといいと思います。レベルが表示されており、文章で使われている単語があらかじめレベル別に制限されているので、辞書なしでも大方理解できるくらいのレベルを選ぶようにすれば多読を進められると思います。ただ多読には少しくらいわからない単語が出てきたほうが、文脈から意味を推定する能力も身につきますから、見開きのページに2〜5個の新しい単語が出てくるくらいの難易度を目安にするとよいでしょう。
「スキミング」で素早く文章内容を把握
リーディングの問題を解くためには、「スキミング」(拾い読み)をマスターすることも大切。これはざっくりした流れをつかんだり、目指す情報がどこにあるのかを探したりするときの読み方で、対して正誤問題を解くときなどに正確に内容を理解するための丁寧な読み方を「精読」と言います。全体を精読しても時間が余るという人は精読だけでもよいのですが、実はスキミングというのは、リスニングの問題を解くときにも役立つスキルです。なぜなら、次の問題が放送されるまでの短い時間で、設問と選択肢の内容をざっくりと把握することができるから。またGTECなど検定試験の中にはスキミングができるかどうかを判断することを目的としたセクションが用意されていることもありますから、身につけておくに越したことはない能力でしょう。
スキミングのときには、まず文中に繰り返し登場しているキーワードをいくつか見つけ、その組み合わせからどんなことがテーマになっているのかを推測するのがおすすめ。タイトルがついているときには、そこからテーマを推測することもできるでしょう。それから文章の中身に目を移し、主語と述語に注目しつつ、どんなことが言われているのかを読みます。1点気をつけてほしいのが、notやneverなどの否定の副詞の存在。これがあると文の意味が180度変わってしまいますから、しっかりチェックするようにしましょう。
国語と同じで、リーディングのスキルは身につけるのに時間がかかります。早いうちから英文をたくさん読み、速読を武器にできるとよいですね。
東京大学|S.H
東京大学教養学部在学中。高校時代は公立校の外国語科に在籍し、塾に通うことなく合格をしました。みなさんができるだけ楽しみながら勉強を進められるようなコラムを執筆いたします。