「暗記科目」と言われることの多い社会科系の科目。まるで他の科目よりも簡単だと言っているかのようですが、社会科系の中でも特に歴史は年号に用語に地図に……覚えることばかりで大変ですよね。あまりのやることの多さに、スケジュール感に不安を持つ方も少なくないのではないでしょうか。このコラムでは、日本史の勉強に関する本番までのスケジュールや戦略をお伝えしていきたいと思います。
日本史は「狭いけれど深い」
日本史というからには日本にかかわる歴史をメインに扱う科目ですから、当然、世界史と比べれば時代・地域的な広がりは狭くなります。ただその代わり、一つ一つの物事が細かく問われ、高得点を狙うためには表面的な知識をインプットすることはもちろん、そのそれぞれがどのようにつながっているのかまで理解しておく必要が出てきます。
そのためには、全範囲を最低でも2〜3周する学習はマストです(1回読んだものはすべて頭に入るという、よほどの天才なら別ですが)。と言っても、ただ教科書をさらさらと3回読む、というのではなく、たとえばはじめは「流れをざっくりと頭に入れて全体を俯瞰できるようになること」、次に「用語の確実な定着」、最後に「できごとの相互的なつながりを覚えること」というふうに、毎回異なる目的意識を持って学習することが大切です。並行して目的に合った一問一答や問題集を使用して定着度をチェックすると、自分でも進度を知ることができて安心でしょう。
対策スケジュールとしては、夏休み終わりまでに1周目、冬休み前までに2周目、冬休みから本番に向けてラストスパートの3周目といったくらいが、他教科との兼ね合いを考えたときに無理なくこなせる速さでしょうか。一つの目安にしていただければと思います。
ただこれを読んでいるみなさんの中には、「夏休みなんてとっくに終わっちゃったのに、1周目すら終わっていないじゃないか。どうしよう」という方がいらっしゃるかもしれませんね。次はそんな方のための戦略をご紹介します。
効率的に学習するためには、苦手をあぶり出せ!
あまり定着していないと感じた用語や、特に理解できていない部分をハイライトしながら進める方法は、時間に余裕のない人にもおすすめです。1周目は学校の授業でわからなかった・覚えきれていない・忘れてしまった部分のハイライトからスタートし、2周目以降には、まだ理解しきれていない部分に違う色をつけていきます。これを繰り返せば、もう十分わかっているところまで繰り返し読むという作業を省くことができ、学習がより効率的になります。
また、すぐに集中力が途切れてしまって教科書や問題集を使った学習がなかなか捗らないという人におすすめしたいのが、映画やドラマ、小説を使った学習法。歴史上の人物がいきいきと描かれている作品なら、教科書とは違って、感情移入したりドキドキハラハラしたりしながら鑑賞することができますよね。登場人物の人生を追体験することで、出来事が時系列で、かつ確実に記憶へと定着します。細かな周辺知識がストーリーに組み込まれている歴史ものの作品が効果的に役立つのは、日本史という科目が持つ「狭いけれど深い」性格ならでは。世界史だと、そんなに細かいことを覚えても役に立たないことが多いので(笑)。
もちろんすべての時代をこの方法でカバーするのは、時間的にも、題材の人気度のばらつき的にも厳しいものがありますが、苦手な箇所に絞ったピンポイントな学習には最適です。
日本史の学習で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
東京大学|S.H
東京大学教養学部在学中。高校時代は公立校の外国語科に在籍し、塾に通うことなく合格をしました。みなさんができるだけ楽しみながら勉強を進められるようなコラムを執筆いたします。